MOG networkのウェブサイトへようこそ。
代表挨拶の通り、私たちは、患者さんとご家族の皆様の不安や孤独感を少しでも和らげることを心から願っています。
そのために正確な情報の提供を心がけております。
MOGADは、脳、脊髄、視神経といった中枢神経系を自分の抗体が攻撃する自己免疫性の脱髄性疾患です。
神経を保護するミエリンの構成要素であるミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク(MOG)に対して、体内で作られたMOG抗体が誤って炎症を引き起こし発症します。


日本で初めて実施された全国調査では国内推定患者は約1,700人程度で、10万人あたりに1.34人と稀な疾患ですが、発症年齢は幼児から高齢者まで幅広く、平均発症年齢は約30歳です。男女差はありません。
小児期に発症するケースは全体の約30%と多いという特徴があります。海外の調査では視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)よりも少し多い報告があり、日本でも今後診断されるケースが増えると考えられます。
かつては多発性硬化症(MS)や視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)と症状が似ており、適切な抗体測定ができなかったことから同一疾患として考えられてきました。
しかしMOGADはMSやNMOSDとは別の疾患であり、疾患治療も異なります。
診断には血液検査または髄液検査でMOG抗体を測定することが重要となってきます。測定することで早期に正確な診断(確定診断)をすることが、予後を左右する極めて重要なポイントとなります。
MOGADには炎症が起きる部位によって様々な症状を呈します。
視神経炎、脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、髄膜炎、皮質性脳炎などが生じ、症状は個人によって様々です。
視神経炎は、MOGADの成人期における最も多くにみられる症状の一つです。
視神経に炎症が起こることで、以下のような症状が現れます。
| 視力低下・視野異常 | 急な視力低下、視界のかすみ、色が分かりにくい、視野の一部が欠けるなど。 |
|---|---|
| 眼痛 | 特に目を動かした時に、目の奥や目の周囲に痛みを伴うことが多いのが特徴です。 |

早期受診の目安:「昨日まで見えていたものが見えにくい」「急に片目が痛い」と感じたら、迅速な専門医の受診が必要です。
視神経炎以外に、脊髄で炎症が起きるパターンもあります。
脊髄は脳からの指令を送ったり、感覚を受け取ったりします。そのため炎症が起きることで、体の動きや感覚に障害が現れます。
| 運動麻痺 | 手足に力が入らない(麻痺)、歩きにくい、立ち上がれないなどの症状。 |
|---|---|
| 感覚障害 | 体幹や手足のしびれと、ピリピリとした痛みが徐々に悪化。 背中を圧迫した姿勢でひどくなることもある。温覚や冷覚が分かりにくいなど。 |
| 排泄トラブル | トイレの回数や漏れなど、排尿・排便のコントロールの異常(膀胱直腸障害)が起こりやすいのも特徴です。 |



排尿障害を呈することが知られています。
早期受診の目安:「肩や腕、手の痛みやしびれ」「急に手足に力が入らない」「急にトイレが近くなった/出なくなった」といった、症状でもMOGADの発症が考えられます。
脳に炎症が起こるパターンです。特に小児期の発症では、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)という病型が多く見られます。
| 脳炎の症状 | 急な発熱、異常行動、意識がぼーっとしている(意識障害)、けいれん、ふらつきなど。 |
|---|---|
| 小児 | 子どもは症状を正確に伝えられないため、ご家族が「高熱のあと、急に反応が鈍くなった」「急に意味不明な言動が増えた」「いつもできていたことができない、覚えていない」といった「いつもと違う様子」に気づき、迅速に対応することが大切です。 |
その他にもMOGADでは強い全身倦怠感など様々な症状があります。
適度に休息をとり、症状が持続する場合には医療機関の受診をしましょう。
MOGADには根治療法はありません。
治療は、再発した時の「急性増悪期の治療」、再発しないようにする「再発予防の治療」、そして残った症状をやわらげる「対症療法」の3つに分けられます。MOGADに保険適用されている治療は、基本的にはありません。
これはMOGADの疾患概念が確立して間もなく、最新の治療ガイドラインで初めて掲載されたためです。
今後、保険適用が拡大すれば治療選択肢が広がります。
炎症が起きている状態を急性増悪期といいます。最も一般的には「ステロイドパルス療法」が行われます。
その他には免疫グロブリン療法や血液浄化療法があり、ステロイドパルス療法で効果が不十分な際に用いられたりもします。
経口ステロイド剤や免疫抑制剤が使用されます。MOGADは比較的ステロイド剤に効果があるとされています。
MOGADの症状は多彩です。しびれや排尿障害などの症状に適した治療が行われます。
MOGADと前向きに歩むため、病気中心にならない生活と、適切なサポートがあるとよいかもしれません。
再発や症状の悪化を早期に発見するため、医療機関への定期的な受診が必要です。
再発を疑う場合はMRI検査や視力・視野検査で早期発見が不可欠となります。
再発予防のための治療を継続し、ステロイド剤内服がされる人は血圧コントロールや定期的眼科診療、骨密度の低下予防を行います。
また、薬剤内服では免疫が抑制がされることがあるため手洗いうがいなどの感染症予防を行いましょう。
疲れやすさに配慮しつつ、お子さんの「やりたい」気持ちを大切にし、無理のない範囲で活動できるよう学校(担任、養護教諭)と連携し、配慮事項を共有します。
ご家族だけでなく、学校など周囲の大人も温かく見守る姿勢が、精神的なサポートになります。
不安や孤独を抱えず、私たちMOG networkのようなお互いを支え合える温かなコミュニティを頼ってください。
Nakamura M, Ogawa R, Fujimori J, Uzawa A, Sato Y, Nagashima K, et al. Epidemiological and clinical characteristics of myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody-associated disease in a nationwide survey. Mult Scler. 2023;29(4-5):530-539.
Hor JY, Fujihara K. Epidemiology of myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody-associated disease: a review of prevalence and incidence worldwide. Front Neurol. 2023;14:1260358. doi: 10.3389/fneur.2023.1260358.